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思い出の箱

ゴールデンウィークに久々地元の福岡に帰った。
結婚式の日程も決まり、6月中には彼と一緒に暮らし始める。
そのために実家においてきた荷物をまとめるための帰省だった。
まとめた荷物はダンボールにつめておき、
引越しのタイミングで母に東京へ送ってもらうことにした。
久しぶりに入る私の部屋は、たまに掃除をしてくれたようできれいだったけれど、
置いてあるものすべて、母は福岡を出たときのままにしてくれていた。
幼いころの私の写真などは結婚式に使うので、東京に持って帰る。
小学校の時の文集、中学校の部活の賞状や寄せ書きも
もしかしたら披露宴のときに飾ってお披露目すると楽しいかもしれない。
母は昔から捨てられない性分で、いろんな物を大切にしまってくれている。
私が小1のお正月で着た着物がでてきた。髪飾りも一緒にしまってくれていた。
福岡には3泊の予定だけど、
想い出を一つ一つ荷造りしていくには短かったのかもしれない。
母と、そして時々父も交えて昔の話を聞いていると
忘れていた私が私の中に戻って、そして本来の私になっていく
そんな気がした。
母が勉強机の2段目の引き出しの奥から
朱色の蓋の箱を見つけた。
「なんだろね?秘密の箱かな?」
その箱にはかすかに見覚えがあった。
隠すために引き出しの奥に入れた、そんな記憶はあるのだけれど・・・。
「開けてもいい?だめ?」
いいよ、と言おうとおもったけれどやっぱりやめた。
母から受け取り、背を向けて、こっそりとその朱色の蓋を開けた。
「おばあちゃんからもらったやつだ。」

箱の中にはもう一つ箱が入っていた。
少し色あせた、布製の箱だった。
「あら、これあなたが持ってたのね。いつおばあちゃんからもらったの?」
母はこの布製の箱のことを知っていた。
この箱をおばあちゃんから譲ってもらった、いや欲しくておねだりしたのは
私がまだ小学生の時だったと思う。
キラキラとひかるブルーの石とレースがとってもきれいで
どうしても持って帰るとわがままを言ったのだ。
「私が欲しいといったときにはくれなかったのよ」
と少しすねたように母は言った。
でも私の記憶ではおばあちゃんはやさしく「いいよ」と言ってくれた。
・・・たしかそうだった。
「きれいでしょ?それはおばあちゃんが結婚式でつかったものなのよ。知ってた?」
そういうと何やら昔のアルバムを探し始めた。
布張りの辞書のようなアルバムには白黒の写真、
その中におじいちゃんとおばあちゃんの結婚式の写真があった。
「その当時にはめずらしく洋装の結婚式なのよ。
おばあちゃんはずいぶんモダンガールだったらしいから。」
そう笑っていう母は一枚の白黒の写真を差し出した。
おじいちゃんとおばあちゃんが2人並んで屏風の前で撮った写真、
そしてよく見るとおばあちゃんの手の中にはこの箱が写っていた。
「アクセサリーか何か入れるものじゃない?結婚式だから指輪かな?」
私がおばあちゃんからもらったその布製の箱は
おばあちゃんにとって実はとても大切なものだったのだ。
そんな大切なものをなぜ小学生の私にくれたのか、
理由はもう聞くことはできないけれど・・・。
そっと布製の箱を開けると、なつかしいものがいくつも出てきた。
おもちゃの指輪、ネックレス、お気に入りだった髪留め、
そして好きな男の子からもらったキーホルダー・・・。
あっという間に小学生の私にタイムスリップする。
底の方からは何やら手紙のようなものが出てきた。
丁寧に折られたその紙をゆっくりと開く。
“将来ケッコンする人へ” というタイトルが見えた。
「なになに?なに書いたん?」
と母が覗き込むのであわてて閉じ、箱の中にしまった。
どうやら未来の旦那様に宛てた手紙らしい。
いったい小学生の私は何を考えて書いたのやら・・・。
ずいぶんとませた子だったことは間違いない。
「そうかそうか。そうだったね~」
と誤魔化しながらその箱をバックにしまった。
このタイミングでこの箱がでてきたのは、
天国のおばあちゃんの仕業に違いない、
そう思った。
この手紙は帰りの飛行機の中で見ることにしよう。
そして東京についたら、迎えに来てくれた彼にこの手紙を読ませてみるのだ。
手紙を読んでいる彼の顔を思い浮かべると、なんだかおかしくなって
一人にやつきながら、また荷造りを始めた。
これはフィクションです(^_^.)チャンチャン♪
リングピロー近日UPする予定なのだ!

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